奮闘日記 (2001/03/15)

 値付け


節分  書店員の人は自分で売り物に値段を付けたことがありますか? 通常の仕事の範囲内 ではやる機会はほとんどないと思います。再販制度がどうなるかもうすぐ答えが出ますが、現状での弾力運用のひとつとして、「新しい出版流通を考える会」という出版 社のグループによる謝恩価格本フェアと言うのをうちの店でもやることにしました。

  フェアといってもセットではなく、リストの中から単品で選んで注文し、正味は25 が基本。買い切りです。小売価格は書店が判断します。これが書店員の私には新鮮な 体験でした。

  値付けの時は、この手の本はうちでは良く売れるから30%オフ(店の取り分は45 )で行ってみようとか、これは半額(おなじく25)なら買う人いるなとか考えるわ けです。普段から売れ筋をしっかり掴んでいれば、堅いところで利益を確保し、ほかで 出たロスをカバーできます。(カバーしきれないともかぎりませんが)

 値段を付けなければ売れないのですから、必然的に店の売れ筋、本の内容を見る目が 違ってきます。あるいはこれはすごく儲かる、これはそんなでもない、あっちで出た 損をこれでちゃらにするとかいった、利益の考え方が出てくる。何を売っても利益率 は同じ、しかも返品フリーで売れ残りのリスクが(ほとんど)ないのであればそんな こと考える必要はない。

 今まで書店はどう並べるかは考えても、どう売って儲けるかは考えて来なかった、あ るいはその余地が無かった。今回のフェアはなかなか考えさせられます。 もっとも、一冊ずつ内容を吟味しお客さんの顔を想像し3人思い浮かんだらよし、な んて事は規模が小さければできますが大きくなってくるとどこまでできるのか。現実 には出版された時期で線を引いて、ここより前の商品の取引条件はこれこれ、という 形になるのでしょうか? そうすると大きな書店には3冊1980円の棚とかできる のか?冬物実用書バーゲンセールとか。


  ●千駄木・往来堂書店
  ●笈入 建志 (おいり けんじ)