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奮闘日記 (2001/02/13)
今度の週末までに
先日「ケアマネージャーの本ない?暇でさぁ、勉強でもしようと思って」と初老の男
性。恥ずかしながら一種類だけ入れていた本がそのとき売れてしまって無く、「すい
ません、今度の週末までに何冊か入れておきますから」「んじゃ、また来るよ」早速
大阪屋さんで何冊か抜きました。
数日後、「保険会社の本、ない?」そうか、いまコマーシャル盛んだけどどれが良い
のか分からないものなぁ。「すいません、今度の週末までに‥‥」一人に尋ねられたらその後ろに何人のお客さんがいるのか?
このようなニーズは店頭に立たないと分からないことですね。上がってきたスリップ
やPOSデータでは分からない。便利な物は否定しませんが、死に筋の排除だけでは
縮小再生産です。店頭に立っている人が自分たちが店を作っているということを忘れ
ずに仕事ができるような店にしていきたいですね。
★今週の気になる一冊・その後★
『誰が「本」を殺すのか』 佐野眞一著 プレジデント社
この業界にいる方は全員買って読むべきです。それだけで部数が読めますね。本の流
れの川上から川下までたくさんの人が登場しますが、その人たちの生の声がとても刺
激的で、大変な労作です。
題名も刺激的ですが読後明らかに犯人はこいつだ!と血祭りに上げられるほど問題は
単純ではなく、各自が自らの課題として時には協力して変革の第一歩を踏み出すこと
が大事と思います。もっとも、このようなカタルシスを期待させる題を付けたことは
ベストセラーに代表される現在の本の買われ方、読まれ方への批判を含んだ確信犯的
な行為では?とも思いました。
さて、あまりに内容てんこ盛りのため自分の中で半分はまだ消化不良の状態ですが、
前半の1〜4章は現在の流通に深く切り込んだ章であり、いきなり考えさせられます
。私が思ったのは、問題は出版流通の現状は、戦後の超売り手市場から現在の売り手
市場への変化に対応していない所にあるということです。再販制による小売価格の拘
束は、極端な供給不足による価格の暴騰を防ぐための物では無かったか。「全国どこ
でも同じ値段で本が買えるって素晴らしい」と買い手が思っていないのはブックオフ
の繁盛を見れば分かります。誰のための再販制なのかもう一度考えるべきです(もう
遅いか)。
また、ブックサービスやオンライン書店の送料プラスは買い手にとっては実質的には
本の値上げです。電車賃より安いと考える人がいますが、それはあくまで宣伝文句で
、通勤途中に本を買う人(本を買うだけのために出かける人がどれだけいる?)にと
ってはやっぱり値上げ。それでも業績が良いなら「いま読みたい」気持ちに応えてく
れたことが評価されているのです。送料無料では利益が出ないのですから流通コスト
は誰かが負担しなければならないし、それを含めて小売価格と言うものは決まるもの
だと思います。それが従来の仕組みではできない。
取次のパターン配本も売り手市場が前提になっている。店頭での実感としては現在、
望ましい一定の水準はあるにせよ、パターンのランク上げろの一点張りでは店が伸び
るとも思えない。かといって細かい話になってくるとそれはパターンをいじる形でし
か対応できず結局身動きがとれない。
もちろん再販制が無くなれば安くなる本、高くなる本、引き合わずに出せなくなる本
などが出てきます。出版物の多様性を守るためには図書館に公共的な役割をさらに持
たせるとかオンデマンドや電子出版の技術の進歩など別の方法が必要です。それらに
目をつぶり制度を変えることは暴挙と言わざるを得ないと考えます。一方で現在、出
版物の多様性が守られているかと言えば私の立場からは疑問です。作っても読者に届
かずに戻るのでは意味がありません。
細かく分かれた買い手に対し、欲しい商品を欲しい時に提供する事が何より大切な「
買い手市場」で必要なことは、在庫の有無を含め検索を充実させること、個別の注文
に迅速に対応できる仕組みを確立すること、発売前のニーズの吸い上げやオンデマン
ドの技術を進めること、そして売る際の提案力を強化することでしょうか。うまくい
けば出版物の多様性も守れると思います。
以上私なりに考えてみましたが、みなさんはどうお考えですか?まだまだ勉強中です
のでいろいろなご意見を頂けると幸いです。
・ご意見・ご感想はメールにてどうぞ(HP掲示板にいただいても結構です。)
●千駄木 往来堂書店
●笈入 建志 (おいり けんじ)
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