奮闘日記 (2000/11/27)

 本を薦める


 「僕、近くに入院しているんですけど、何かいい本無いですか? 普段サッカーばか りであんまり時間が無いし、こんな時でもないと本読めないと思って。サッカーばっ かりの人になりたくないんです。」

 高校生だろうか。こういう具体的でない要望が一番難しい。私はこう言われて店内を みまわす。本は沢山置いてあるにもかかわらず、自信を持って薦められる本がない。 その貧弱さに愕然とした。新しく出る本の情報を集めながらあれもこれもと欲張って やっていくうちに、いつの間にかお客さんを忘れそうになっていた。

 何か読みたいな、と漠然と思っている人に本を売るにはどうするか。まず自分の家族 、友達、知人を思いだしてからその人に買ってもらうなら……と考えて仕入れること 。それをいつでも考えているのが本屋。そして、自分の知ってる人の誰にも買っても らえそうもない本は置かない。物があふれかえっている今だからこそ大切なことだ。 ちなみにこのお客さんには、自分も読みたいと思っている本を薦めてみたら、気に入 ってもらえました。よかった、よかった。