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 誰が「本」を殺すのか

著者近影
【著者】 佐野眞一
【出版社】 プレジデント社
【判型・頁数】 四六判・464頁
【本体価格】 定価1800円+税

【内容】
 活字離れ、少子化、出版界の制度疲労、そしてデジタル化の波―― いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動未曾有の危機に、「本」が悲鳴を上げている!!
 この「事件」を、豪腕「大宅賞」作家が取材・執筆に丸2年1千枚に刻み込んだ渾身のノンフィクション!
  「本」の世界に、いま起きている事件ルポルタージュとしてこれを書いた。いま「本」を殺そうとしているのは、だれなのか。出版社なのか編集者なのか取次なのか。それとも書店なのか図書館なのか書評家たちなのか。いや、ひょっとすると私を含めた著者たちなのかもしれないし、意外にも読者なのかもしれない・・・・・・・。

目次

プロローグ
本の悲鳴が聞こえる!

第一章……書店
「本屋」のあの魅力は、どこへ消えたのか

第二章……流通
読みたい本ほど、なぜ手に入らない?

第三章……版元
売れる出版社、売られる出版社

第四章……地方出版
「地方」出版社が示す「いくつかの未来図」

第五章……編集者
「あの本」を編んでいたのは。だれか

第六章……図書館
図書館が「時代」切り結ぶ日

第七章……書評
そして「書評」も消費されていく

第八章……電子出版
グーテンベルク以来の「新たな波頭」

エピローグ
「本」の生死をわけるもの

あとがき
【担当編集者より一言】

 往来堂サイトご来店の皆様、こんにちわ。
 プレジデント社「プレジデント」編集部の石井です。

 ちょろちょろと往来堂さんのサイトに書評など書かせて戴いているご縁に甘えて、本日は本の営業に参上しました。『旅する巨人』で大宅賞を獲り、以後も『カリスマ』『東電OL殺人事件』と話題作を出し続けるノンフィクション作家、佐野眞一氏の新作『だれが「本」を殺すのか』のご案内です。

 昨今、ご承知の通りに本が売れていません。では本を殺しているのは、著者なのか、出版社なのか、編集屋なのか、取次なのか、書店なのか、ブックオフなのか、図書館なのか、書評なのか、「紙以外の本の登場」なのか、それとも読者その人なのか?
 これら川上から川下まで、すべての「なのか?」を真正面から取材し、串刺しにした1000枚のノンフィクションです。編集者論、流通論、書店の物語、図書館の考察、電子出版――それぞれの世界の本は既にあります。しかし、それらすべてを串刺しにしたノンフィクションは、これが初めてではないかと。
 これは、本という装置の中でそれぞれのジャンルを混在させることで、閉じた世界の危うさに気付く「ミステリー」本でもあります。

 この本は、1999年に「プレジデント」で8回連載された『「本」は届いているか』をベースとし、佐野さんの精力的な1年の追加取材と大幅加筆改稿を経て、ほとんど書き下ろし状態で生まれました。
 連載は「電子出版」の回から始まりました(単行本では最終章となります)。この回の主人公とも言えるボイジャー社長の萩野さんは、佐野さんの大学時代のお仲間です。当方、過去の取材で萩野さんにお会いしたときにそのことを存じあげており、いちど佐野さんに萩野さんのことを書いて頂けないかと考えていました。佐野さんにご相談させて頂いたのが1998年の暮れ。「萩野のいる世界は前から気になっていた」という佐野さんにご快諾を頂き、連載が始まったというわけです。

 当時の「プレジデント」を見ますと、《短期集中連載》と書いてあります。当初はその予定でした。しかし「こりゃ2、3回で終わるものじゃないぞ」とすぐに気付きます。電子出版が内包しているものは、流通であれ、本の中身であれ、いまある本のすべての問題と重なり合っているからです。そこで、タイトル横に上中下の「上」と書くべきところをこっそりと「第一回」に変えました。こうすれば、理論上は何回でもできます。今にして思えば、どうも編集長にはお見通しだったような。とまれ、かくして連載は、書店篇、流通篇、出版社篇……と続いていきました。私がこの本に何か役割を果たしたとすれば、たぶん「第一回」と書いたこの一点です。

 私は雑誌編集屋でして、単行本というものをきちんと編んだ経験も技量もありません。連載をいざ単行本にするときには、小社単行本部門のヴェテランが担当し、私はその回りをうろちょろさせてもらいました。しかし、うろちょろしているだけでこれだけ充実感がある「おいしい」仕事もなかなかありませんでした。

 あるときは秋田の居酒屋で、あるときは伯耆大山の山麓で、博多は中洲の呑屋で、佐野さんの流山の仕事場で、何度も何度も「いやあ、本の話は面白いなあ」「なんでこうも面白い奴ばかりいるのかなあ、この世界は」と佐野さんが仰ったのを覚えています。私も同じ言葉を口にしていたような。本好きの皆さんならおわかりいただけると思います。本好き同士で本の話をしているときの高揚感を。飛び交う本の名前、著者名、その固有名詞に託された読み手の思いと時間。その高揚感を凝縮し、凝縮したままで1000枚のスケールを持ったものが『だれが「本」を殺すのか』だと思っていただければ幸いです。

 登場する人名が約400人、うち、直接取材した方は100名超。その中には取材開始時には往来堂の初代店長さんだった安藤さんもいらっしゃいます。安藤さんの元同僚、鹿児島は南方新社の向原さんも登場します。紀伊國屋書店の松原会長が、ブックオフの坂本社長が、アマゾンのジェフ・ベゾスが、セブン-イレブン・ジャパンの鈴木会長が、本の話をしています。ブックサービスの木村社長が飄々と語り、青空文庫の富田さんが淡々と(しかし熱く)呟き、ジュンク堂の工藤社長がしんみりと話し、浦安市立図書館の常世田館長が真摯に訴える「本の話」があります。
 取材に関わった当事者が言うのも何ですが、これだけ多くの、様々な分野の方が本について語る本はありません。ぜひ、ご一読を。

 2月9日(金)、10日(土)には往来堂さんをはじめ、全国の書店さんに並ぶ予定です。初版は出版業界関係者が買うだけでなくなっちゃう――のではないか、という噂を広めたいなと個人的に思っております。ということで皆さん、急げ往来堂さん(の予約)へ(笑)!