『夕暮まで』吉行淳之介 新潮文庫
何よりも魅惑的な空虚
80年代初頭に「夕暮れ族」という言葉があった。中年男と若い女のカップルを指しているが、同名の愛人バンクもあったりして(のち、摘発)、ちょっとした流行語になった。その元になったのがこの小説である。古書店で最も値のつかない吉行の小説であり、評価も低い。しかし私はこれが好きだ。鼻白むような男女の会話がたくさん出てくるが、その趣味の悪さ、何よりも圧倒的な空虚感がすばらしい。ほんとうに、ガラーンとして何もない小説。そこがいい。バスが走る冒頭の3行を読んで、すぐに好きになりました。(北條一浩/ライター・編集者・古本ナイアガラ)
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