#往来堂書店新書部 その1 『トラクターの世界史』藤原辰史 中公新書

#往来堂書店新書部 その1 『トラクタの世界史』藤原辰史中公新書
ピクサー映画『カーズ』をご覧になっただろうか(もう何年前だ?)
主人公が相棒のピックアップトラックと一緒に、畑でのんびり寝ぼけているトラクラー驚かして、面白がるシーン・・・
大きくて、力があって、でものろまで、というイメージですが(そりゃ、レーシングカーに比べればね)トラクターは人間をきつい農業労働から開放し、生産性を大幅にあげた、とても重要な発明なのです。

牛や、馬に鋤を引かせて畑を耕していた時代から、近代的で、大規模で、効率が良い農業への脱皮を象徴するのがトラクター。
いつの時代にも、若い跡継ぎは、その新しい発明品の魅力に取りつかれて、親の世代とのすれ違いを生みます。

輝かしい農業の未来を象徴するようなトラクターですが、やはり、負の側面もあります。
動物の世話からの解放と引き換えに、堆肥ができなくなるので、農民は化学肥料を買う必要が出てくる。
有機的な循環農業が、外から化学物質を投入する農業へ変わる。(空気から富を生む、窒素肥料の話は、また別に読みたいぞ!!)
農地の集約、高額な機械の購入による、借り入れ。
そして事故。(『北の国から』でそうた兄ちゃんは借金を重ねながら大規模農場の経営に乗り出し、その途上、壊れたトラクターの下敷きになって死んでしまいます、、、、それよりもだいぶ前、都会育ちの純と雪子おばさんを遭難から救ったのは「へなまずるい」と言われて評判の悪かった正吉のじいちゃんが飼っていた馬でした。。。)
20世紀の近代文明、その農業分野での展開をこの本でなぞると、現在肯定的に取り上げられることの多い身の丈にあった小商いや有機農法とは対照的な、20世紀文明の姿が浮かび上がってきます。

僕も本屋という商売人。
お金のかかる機械や設備を借金して導入し、規模を、効率をあげて行くことと、身の丈の商売のバランスで悩みます。
規模は小さくても、同じような悩みがあるのです。
そう、どんな分野でも近代的なシステムの導入と、生産性アップ、そしてコストの上昇はセットになってることが多いのかも。

人間の、文明の、技術の進歩とは何か。
昔は良かったとか、工業化以前が良いとか、そんな単純な話ではないことを思い出さえてくれる、しかも、トラクター愛(!?)に満ちた素晴らしい本です! 
(笈)

中公新書 860円+税


お取り置きフォームへ

お取り置きが出来ましたら、こちらからご連絡差し上げます。
タイミング悪く在庫切れとなりました際はご容赦ください。次回の入荷予定の有無も含めまして、こちらからご連絡差し上げます


往来堂書店

最近のお知らせ